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校長あいさつ R5.6~

しなやかに、たくましく生きるためのトレーニング ~失敗してもいい居酒屋の話~

 鴻巣市では、「子どもの居場所コーディネーター」(市役所こども未来部こども応援課所属)という職員がいます。定期的に来校され、鴻巣市の子どもの居場所支援事業についての情報や資料を提供いただいています。先月、いただいた資料の以下の文章が目にとまり、読み入ってしまいました。(以下、引用文)


 山形県米沢市で会員制の居酒屋「結」を切り盛りしている白石祥和さんの本業は、不登校の子どもたちが学ぶフリースクールを運営するNPO法人の代表だ。仕込みが始まる午後4時ごろになると店の「おやじ」の顔になる。「笑顔で明るく失敗してもいい」これが就労をめざす若者のトレーニングの場である店の基本スタンスだ。
 白石さん自身、「失敗」や「まわり道」の連続だった。山形大学を卒業後、地元の消防士の採用試験に2年続けて落ちた。日雇いのトンネル工事、塾の講師、北海道の牧場で働いた経験の後、米沢市内の小学校の特別支援学級の支援員として働いたことが転機となった。こどもたちが笑顔になれる場所がもっと必要だと感じ、2007年にフリースクールを作った。その後、卒業生や引きこもりの若者から相談が寄せられるようになり、地域のサポートステーションを開設して、就労支援を始めた。
 しかし、コミュニケーションの取り方の講習、職場体験プログラムに参加しても、就労につながらなかったり、孤立して引きこもったりする若者の姿も見てきた。そこで、地域の人に応援してもらい『失敗してもいい場所を作ろう』と趣旨を理解してくれる客による会員制で、安心してトレーニングできる居酒屋を開店させた。店の名前は『結』。地域の人や企業からの寄付が土台のこの店は、「挑戦する若者と地域の人たちが結びついてほしい」との願いが込められ、店のスタッフとしてお客さんを相手に人間関係をトレーニングする。白石さんは、「どんな若者にも挑戦できる場と認めてくれる人が必要だ」という思いで店を続けている。(R5.5.1読売新聞掲載)

 

 学校も、児童が社会にでるためのトレーニングをしている場と考えると、白石さんの取組に学ぶべきところが多いと思いました。「笑顔で明るく失敗していい」。このことを基本にすることが、児童がしなやかに、たくましく成長することにつながる。という思いをもちました。この夏休みには、米沢に足を運び、臨時会員となって「結」にお邪魔したいとも思いました。

「元くすっ子」からのメッセージ ~先輩の姿が後輩の姿をつくる~

 麦秋を迎えました。寒暖の差が大きいこの時季ですが、「くすっ子たち」には、引き続き健康に留意し、1学期の後半を元気に過ごしてほしいと思っております。
 さて、今月は、二人の元くすっ子からいただいた間接的なメッセージを紹介いたします。一人目は学校 HPを通じて繋がることができた、竹内 宙明 さん(平成7年度卒業生)です。
 今年1月30日の学校ホームページに、明治14年の開校年に書かれている「薬師前」という地名から、学校の近くには、「薬師神社か薬師如来(お寺)があったと思われるが、現存しないのはなぜか。」と掲載したところ、竹内さんが、自主的に学校周辺を歩いたり、文献を読んだりして調べた結果をレポートとして郵送してくだりました。そのレポートから、屈巣小学校周辺は、江戸時代まで存在したと思われる「桜本坊(さくらもとぼう)」というお寺の敷地であったこと。また、桜本坊には、歴史の教科書に出てくる行基(ぎょうき)が作ったとされる薬師如来坐像と、これも教科書に出てくる運慶(うんけい)が作ったとされる立ち姿の薬師如来像が安置されていたことから、薬師前や薬師堂という地名が、学校の近くにはあることを教えていただきました。さらに、桜本坊は、京都のお土産で有名な「八ッ橋」で知られている京都聖護院の配下のお寺であったこともわかりました。その桜本坊が、今は、なぜ存在しないのかということについては、紙面の都合上、学校ホームページに掲載させていただきますが、竹内さんのレポートから伝わる探究心・ねばり強さと地元愛に、とても感激しました。
二人目はプロ野球「阪神」の投手、桐敷 拓馬 さん(平成23年度卒業生)です。先週金曜日(5月26日)の試合で先発し、7回表まで投げ、5安打1四球に相手打線を抑え、見事初勝利を挙げたことは、多くの方がご存知かと思います。桐敷選手は、昨年度プロ野球入りを果たしましたが、1軍の試合では出番が少なく、苦しいプロ1年目を過ごしたことと思います。しかしながら、苦しさを味わった分、たくましさが増し、初勝利を挙げた試合では、1点差で負けていても、冷静かつ大胆に打者に向かってボールを投げ込み合計10個の三振を奪う力投ぶりでした。特に、6回裏の0アウト1塁で打者としてバッターボックスに入った桐敷選手が、2ストライクを取られたあと、ファールになると三振になる危険性がありながらバントをした場面(結果は、相手投手の好守により、ランナーがアウト。打者走者の桐敷選手が1塁ランナーに残りました。)と、その後、後続の打者がアウトとなり攻守交代となったため、桐敷選手は休む間もなくすぐにマウンドに立ち、7回表を三者凡退に抑えた場面が、大変しびれました。昨年度、野球中継のテレビで見た姿に比べ、しなやかで、たくましくなった桐敷選手の姿は、私たち地元の人々を元気にしてくれたはずです。
 先輩の姿が、後輩の姿をつくることを願い、元くすっ子からのメッセージを昨日の全校朝会で、今のくすっ子に伝えさせていただきました。記事にさせていただいたお二人、そして御家族様、ありがとうございました。