ブログ

校長あいさつ R5.6~

児童の語感を磨き、語彙を豊かにするための指導の工夫(2年生の研究授業から)

 気持ちのよい秋晴れが続いています。まさに、「〇〇の秋」にふさわしい気候です。先週の金曜日(10月27日)に2年2組で研究授業を行いました。これは、来年度の11月上旬に本校において実施する「教育研究発表会」を意識した取組で、1年後には、本校で発表をすることになっております。鴻巣市内全小中学校から教員が参加し、互いの指導力(授業力)を高めるための研修の機会となります。


 本校では、タイトルにあるように国語科の授業を中心に、確かな言語で豊かにコミュニケーションを図る児童(くすっ子)を育成することをめざして、児童の語感を磨き、語彙(ごい)を豊かにするための指導について研究しています。(ここでいう研究とは、どのように授業をすることが児童の力をつけることになるのかということを検証することをいいます。)
 さて、今回2年生は、文の中には、「主語と述語」があること理解し、主語と述語をはっきりさせる(意識して使う)と、伝えたいことがわかりやすくなる。反対に、主語と述語が不明瞭だとわかりにくくなる。(または、通じない。)ということを学びました。いわゆる「日本語の文法」の初歩の学習となるのですが、2年生の児童にとっては、日頃ほとんど意識しないことなので、難しいと感じる内容です。確かに文法の学習は、単調で厄介な部分や面倒な部分があります。しかし、他者としっかりコミュニケーションを図るためには、用いる言葉が重要となることはいうまでもありません。ですから、日頃無意識に使っている言葉について学ぶ意味を児童とともに本校職員も考え、児童が言葉について楽しく学び、生活に生かしていけるように授業を創造していかなければならないと感じています。


 授業後は、鴻巣市教育委員会の指導主事(国語のエキスパートの先生)に、ご指導いただき、授業をした担任のみならず、全職員が明日からの授業を見直すポイントを教えていただきました。その折、戦後の日本の国語教育を牽引した大村はま先生の言葉を紹介いただきましたので、原文のまま引用いたします。
〇子どもが語彙を増やすということは、結局生活を広げることです。
〇ただ、ことばづかいがじょうずだというようなことだけではなく、ことばにたいしては、常に敏感でありたいと思っています。そして、ことばの端々にこもってくるその人の気持ちを感じとるような敏感さと、そこにこめられている自分のことばの端々にいろんな気持ちをこめることをさせたいのです。
〇発表する人に対する温かい気持ちやそれをもり立ててあげる気持ちやその人が言い足りないでいるところを質問してあげる気持ちが大切です。発表する人がいっしょうけんめい発表したけれど、上がっていて大切なことを落としたり、時間が無くなって割愛(省略)したりしたときなどに、その内容をよく知っているお友だちが、じょうずに質問してあげるっていうようなことは、たいへん大切なことだと教えます。

 いずれも、昭和45年に語られた内容です。53年後の令和の時代においても、色あせることなく、人として生きる上で大事にしたい感覚であることを教えてくれます。1年後の本発表時のくすっ子の成長ぶりが、とても楽しみです。

「ことばのスイッチON その②」

 先週土曜日の本校の運動会では、大変お世話になりました。今年度より、新1年生の競技の再開や入場者数の制限解除をしつつ、午前中のみの開催、来校者の立見のお願い等、「アフターコロナの運動会」をRenewしながら実施することができました。
 準備や片付けにお手伝いいただいた保護者様や地域の皆様、運動会の実施にあたり、御理解御協力賜りましたこと、厚く御礼申し上げます。
 さて、2学期当初の学校だよりで「ことばのスイッチをONにする」ということを話題にしました。このことを受けて、今月末には、2年生において国語の研究授業も実施します。新たな言葉を獲得し、自分の気持ちを多様に表現したり、他者が書いたり話したりした言葉の意味や情景を自分なりに解釈できる児童を全校でめざしています。そのためには、「国語の時間+読書の時間+言葉の意味をつかむ時間」が大事になります。
 読書の時間は、本や電子書籍を読む時間。言葉の意味をつかむ時間は、読んだり、聞いたりした言葉で知らない言葉に出会ったときに、「わからない」で済ませず、誰かに尋ねたり、辞書やインターネットで意味や使い方を調べたりして、「なるほど、そういうことなのか」と理解したり、「(そういうことがわからなくても)そういうことを表す言葉があるのか」と思う時間を指します。この言葉の意味をつかむ時間こそが、「ことばのスイッチをONにする」ときなのです。このスイッチは、不思議なことに何度かONにすることを経験すると、次第に自動スイッチになっていくとおっしゃる方もいます。自動スイッチという意味は、「調べないと(わからないと)気が済まない、スッキリしない、だから自ら調べる、使えるようにしようとする」状態のことです。
 子どもたちの「ことばのスイッチ」は、いつONになるかは、わかりません。何気なくテレビを見ているときかもしれません。保護者の方が発した言葉がきっかけになるかもしれません。知り合いのおじさん・おばさんが言葉を発したときかもしれません。そこで、子どもが「○○ってどういう意味?、△△って意味がわからない」と言った瞬間を見逃さないことがポイントになるのかなと思います。もし、このような場面に立ち会うことになりましたら、「一緒に調べてみよう。」と伝えていただくことをお願いいたします。
 子どもたちの「ことばのスイッチ」は、豊かなライフワークに役立つものと思っております。

「ことばのスイッチ ON」 ~子どもの語彙を豊かにするために~

 「おはようございます。」と子ども達と交わす挨拶は、やはり気持ちのよいものです。今朝、しばらくぶりに挨拶を交わし、私自身の気持ちの切り替えがやっとできたという思いがしました。
 2学期は、運動会を皮切りに、学校行事や体験的な活動が1学期より多く計画されています。目的をもって行事や活動に取り組むことで子ども達が大きく成長していきます。「くすっ子」一人一人が、実りある2学期となるよう職員一同頑張りますので、1学期に引き続き、保護者の皆様・地域の皆様の御理解と御支援をどうぞよろしくお願いいたします。
 さて、皆様は「しぐれ」と聞いて、どんな言葉(「しぐれ」「〇〇しぐれ」「しぐれ○○」)が、思い浮かびますか。実は、7月の終業式で「しぐれ」の宿題を全校児童に出しましたので、私なりに調べてわかったことをお伝えします。
①「しぐれ(時雨)」
・晩秋から初冬にかけて、晴れたかと思うと曇り、曇ったかと思うと日差しが出るような時に降っては、すぐ止むような雨のこと。(引用HP:お天気.com) ・涙ぐむこと。涙。(引用HP:goo辞書)
②「せみしぐれ」
 ・せみが、一斉に鳴きたてる声を時雨の降る音に見立てて言い表したことば(引用HP:goo辞書)
③「かき氷のしぐれ」
 ・かき氷に赤や黄色のシロップをかけ、さらに練乳やミルクをかけたもの(引用HP:ひらけ大辞泉)
④「しぐれ煮」
 ・ハマグリやあさりなど貝のむき身に、しょうがを加えたつくだ煮(引用HP:語源由来辞典)
 

 どの「しぐれ」も、どういうものを指す言葉なのかは理解できましたが、①③④は、???が残りました。それは、どうしてそれを「しぐれ」というのか、ということです。紙面の都合上、この後私が知りえたことは省略させていただきますが、私も自ら宿題に取り組んでみたところ、調べることが面白くなり、しばし没頭することができました。この状態を「ことばのスイッチがONになる」というそうです。
 2学期は、子ども達一人一人が、自分の「ことばのスイッチ」をONにする取組にも力を入れたいと思っております。なお、「しぐれ」に次ぐ第2弾の言葉を募集しています。いつでも、校長にお声がけください。

アフターコロナゆえに、あせらず、ゆったりの気持ちをもって

 7月は、酷暑が続き登下校時の熱中症が心配される日が続きましたが、子どもたちは、元気に1学期の最後を乗り切りました。登下校時に、子どもたちと一緒に歩いてみると、毎日大変な思いをして家と学校を往復している子どもたちの気持ちを知ることもできました。みんな本当によく頑張りました。また、保護者の皆様には、1学期の教育活動にご理解・ご協力賜りましたこと、深く感謝申し上げます。
 さて、7月11日に京都大学の研究チームが「コロナ禍で5歳児に約4か月の発達の遅れ・3歳、5歳ともに発達の個人差拡大」という調査研究の結果を発表しました。コロナ禍の3年間に、感染症予防のために人との関わりが余儀なく制限されたことが、結果の一要因との報告がなされていました。
 この結果を知り、必ずしもそうだとは断定できませんが、小学生の子どもたちにも多かれ少なかれ、似たようなことがいえるのかもしれないと私は感じました。また、これは、「誰かが悪い」というわけでもないし、子どもたちは、子どもたちで3年間のコロナ禍の生活を私たち大人を頼りに頑張ってきたのだから、私たちは、慌てることなく今の状況を冷静に受け止め、「アフターコロナゆえに、あせらず、ゆったり」の気持ちをもって、子どもたちの心理等をよく見極めて接することが大切になると、思いました。
 明日から、夏休みが始まります。アフターコロナの夏休みとなりますが、時には、私も含め、子どもたちも、ご家族様も、みんなで、あせらず、ゆったり、充電できるといいなと思っております。しばらくの間、子どもたちに会えませんが、始業式の日に、また、くすっ子全員と元気に会えることを願っております。


※教室のカーテンを洗濯していただき、誠にありがとうございました。夏休み中の電話受付は、平日8:15~16:45までの間とさせていただきます。土日や学校閉庁日(8月11日から16日)または、時間外の緊急連絡は、市役所の代表(541―1321)へ電話にてご連絡ください。

※生成AIの取扱いについて
 文科省ガイドライン等は、「夏季休業中に取り組む作品やレポートなどの作成については、生成AIによる生成物をそのまま自己の成果物として応募・提出することは、評価基準や応募規約によっては不適切又は不正な行為に当たること。また、このような利用は、活動を通じた学びが得られず、自分のためにならないこと。」とあります。また、利用規約に年齢制限もありますので、ご留意ください。

しなやかに、たくましく生きるためのトレーニング ~失敗してもいい居酒屋の話~

 鴻巣市では、「子どもの居場所コーディネーター」(市役所こども未来部こども応援課所属)という職員がいます。定期的に来校され、鴻巣市の子どもの居場所支援事業についての情報や資料を提供いただいています。先月、いただいた資料の以下の文章が目にとまり、読み入ってしまいました。(以下、引用文)


 山形県米沢市で会員制の居酒屋「結」を切り盛りしている白石祥和さんの本業は、不登校の子どもたちが学ぶフリースクールを運営するNPO法人の代表だ。仕込みが始まる午後4時ごろになると店の「おやじ」の顔になる。「笑顔で明るく失敗してもいい」これが就労をめざす若者のトレーニングの場である店の基本スタンスだ。
 白石さん自身、「失敗」や「まわり道」の連続だった。山形大学を卒業後、地元の消防士の採用試験に2年続けて落ちた。日雇いのトンネル工事、塾の講師、北海道の牧場で働いた経験の後、米沢市内の小学校の特別支援学級の支援員として働いたことが転機となった。こどもたちが笑顔になれる場所がもっと必要だと感じ、2007年にフリースクールを作った。その後、卒業生や引きこもりの若者から相談が寄せられるようになり、地域のサポートステーションを開設して、就労支援を始めた。
 しかし、コミュニケーションの取り方の講習、職場体験プログラムに参加しても、就労につながらなかったり、孤立して引きこもったりする若者の姿も見てきた。そこで、地域の人に応援してもらい『失敗してもいい場所を作ろう』と趣旨を理解してくれる客による会員制で、安心してトレーニングできる居酒屋を開店させた。店の名前は『結』。地域の人や企業からの寄付が土台のこの店は、「挑戦する若者と地域の人たちが結びついてほしい」との願いが込められ、店のスタッフとしてお客さんを相手に人間関係をトレーニングする。白石さんは、「どんな若者にも挑戦できる場と認めてくれる人が必要だ」という思いで店を続けている。(R5.5.1読売新聞掲載)

 

 学校も、児童が社会にでるためのトレーニングをしている場と考えると、白石さんの取組に学ぶべきところが多いと思いました。「笑顔で明るく失敗していい」。このことを基本にすることが、児童がしなやかに、たくましく成長することにつながる。という思いをもちました。この夏休みには、米沢に足を運び、臨時会員となって「結」にお邪魔したいとも思いました。

「元くすっ子」からのメッセージ ~先輩の姿が後輩の姿をつくる~

 麦秋を迎えました。寒暖の差が大きいこの時季ですが、「くすっ子たち」には、引き続き健康に留意し、1学期の後半を元気に過ごしてほしいと思っております。
 さて、今月は、二人の元くすっ子からいただいた間接的なメッセージを紹介いたします。一人目は学校 HPを通じて繋がることができた、竹内 宙明 さん(平成7年度卒業生)です。
 今年1月30日の学校ホームページに、明治14年の開校年に書かれている「薬師前」という地名から、学校の近くには、「薬師神社か薬師如来(お寺)があったと思われるが、現存しないのはなぜか。」と掲載したところ、竹内さんが、自主的に学校周辺を歩いたり、文献を読んだりして調べた結果をレポートとして郵送してくだりました。そのレポートから、屈巣小学校周辺は、江戸時代まで存在したと思われる「桜本坊(さくらもとぼう)」というお寺の敷地であったこと。また、桜本坊には、歴史の教科書に出てくる行基(ぎょうき)が作ったとされる薬師如来坐像と、これも教科書に出てくる運慶(うんけい)が作ったとされる立ち姿の薬師如来像が安置されていたことから、薬師前や薬師堂という地名が、学校の近くにはあることを教えていただきました。さらに、桜本坊は、京都のお土産で有名な「八ッ橋」で知られている京都聖護院の配下のお寺であったこともわかりました。その桜本坊が、今は、なぜ存在しないのかということについては、紙面の都合上、学校ホームページに掲載させていただきますが、竹内さんのレポートから伝わる探究心・ねばり強さと地元愛に、とても感激しました。
二人目はプロ野球「阪神」の投手、桐敷 拓馬 さん(平成23年度卒業生)です。先週金曜日(5月26日)の試合で先発し、7回表まで投げ、5安打1四球に相手打線を抑え、見事初勝利を挙げたことは、多くの方がご存知かと思います。桐敷選手は、昨年度プロ野球入りを果たしましたが、1軍の試合では出番が少なく、苦しいプロ1年目を過ごしたことと思います。しかしながら、苦しさを味わった分、たくましさが増し、初勝利を挙げた試合では、1点差で負けていても、冷静かつ大胆に打者に向かってボールを投げ込み合計10個の三振を奪う力投ぶりでした。特に、6回裏の0アウト1塁で打者としてバッターボックスに入った桐敷選手が、2ストライクを取られたあと、ファールになると三振になる危険性がありながらバントをした場面(結果は、相手投手の好守により、ランナーがアウト。打者走者の桐敷選手が1塁ランナーに残りました。)と、その後、後続の打者がアウトとなり攻守交代となったため、桐敷選手は休む間もなくすぐにマウンドに立ち、7回表を三者凡退に抑えた場面が、大変しびれました。昨年度、野球中継のテレビで見た姿に比べ、しなやかで、たくましくなった桐敷選手の姿は、私たち地元の人々を元気にしてくれたはずです。
 先輩の姿が、後輩の姿をつくることを願い、元くすっ子からのメッセージを昨日の全校朝会で、今のくすっ子に伝えさせていただきました。記事にさせていただいたお二人、そして御家族様、ありがとうございました。